あおくてまあるい、わたしの星
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吉原言葉ってすてきだ。
其の時脳内にふと思い浮かんだのは、暗闇の中に置かれている水槽でありました。
黒い静けさに包まれているそれは、艶やかに光り輝いていて、ただ綺麗な宝石に囲まれているというよりは、不思議な魅力のある万華鏡の様な世界。
吉原は、私の頭の中でそう連想されました。
其の世界の中心に浮かぶ、立派な鰭(ひれ)を優雅にゆらゆらさせる一匹の金魚。
其の妖艶な雰囲気を纏った金魚は、吉原一の花魁。
部屋の装飾に劣らず艶やかな着物を羽織り、
持ち手の黒光りする煙管を片手に遊んでおられました。
女は私から視線を外さず、ゆっくりと微笑むのです。
女の笑みは、決して暖かく朗らかなそれではなく、余裕と色気とを孕ませたものでした。
暫くすると、真っ赤に彩られた唇がゆっくりと開き、
其の陶器の様に白い喉から、
ゆったりと言葉が紡がれました。
「今日から此処、吉原が、ぬしの檻でありんす」
女の豪奢な簪(かんざし)が、しゃらん、と涼しい音を立てて揺れたのは
女が愉しそうに笑ったからであります。
私に告げられた言葉。それの意味を理解するには幼すぎた私は、
色気のある声音で紡がれた言葉より、此のアダルトで万華鏡の様に煌びやかな世界より、
目の前にいる一匹の異彩を放つ金魚に、
酔わされ魅せられておりました。
金魚に魅せられ憧れを抱いた私は、
自ら檻の中に飛び込み、
今日も常夜の街にて、泳いでおります。
・カレイドスコウプに棲む金魚
黒い静けさに包まれているそれは、艶やかに光り輝いていて、ただ綺麗な宝石に囲まれているというよりは、不思議な魅力のある万華鏡の様な世界。
吉原は、私の頭の中でそう連想されました。
其の世界の中心に浮かぶ、立派な鰭(ひれ)を優雅にゆらゆらさせる一匹の金魚。
其の妖艶な雰囲気を纏った金魚は、吉原一の花魁。
部屋の装飾に劣らず艶やかな着物を羽織り、
持ち手の黒光りする煙管を片手に遊んでおられました。
女は私から視線を外さず、ゆっくりと微笑むのです。
女の笑みは、決して暖かく朗らかなそれではなく、余裕と色気とを孕ませたものでした。
暫くすると、真っ赤に彩られた唇がゆっくりと開き、
其の陶器の様に白い喉から、
ゆったりと言葉が紡がれました。
「今日から此処、吉原が、ぬしの檻でありんす」
女の豪奢な簪(かんざし)が、しゃらん、と涼しい音を立てて揺れたのは
女が愉しそうに笑ったからであります。
私に告げられた言葉。それの意味を理解するには幼すぎた私は、
色気のある声音で紡がれた言葉より、此のアダルトで万華鏡の様に煌びやかな世界より、
目の前にいる一匹の異彩を放つ金魚に、
酔わされ魅せられておりました。
金魚に魅せられ憧れを抱いた私は、
自ら檻の中に飛び込み、
今日も常夜の街にて、泳いでおります。
・カレイドスコウプに棲む金魚
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